中国で夜にシェアバイクに乗るときにはライトをつけよう

法律に書いていない

中国の自転車はライトの装着が求められていない。中国の道路交通安全法実施条例では自動車などエンジンが搭載されている車両までの範囲ではライトの装着が義務付けられているが(第58条)、自転車にはこの義務が見当たらない。ないのでメーカーはライトをつけて売らない。シェアバイクがというわけではなく、そもそも自転車全体の話。自転車工場に行って話しを聞いてみると、「中国向けは法律で必要とされていないからつけていない」というごく当たり前の答えが返ってくる(わかって聞いててごめんなさい)。

シェアバイクに目を向ければ、もちろんmobikeやofoなど海外に展開しているシェアバイク企業はその現地の規制にあわせており、mobikeの日本向けや、いつになったら日の目を見るかわからない日本向けofoの車両にもライトがついている。近いところでは香港も台湾も同様。

一方、ライトが必要だという認識はそれなりについている。その証拠に中国国内のライトメーカーブランドも増えてきているし、ECサイトを眺めれば自転車用ライトはたくさん売られている。たとえばFerei(飞锐)Fenixあたりは街で見かけることがある。

暗闇を走るのは本当に怖い

いくら法律でライトが必要ないからとはいえ、暗闇を走るのはかなり怖い。自転車同士や歩行者との衝突がこわいという次元ではなく、突然電動車(電動の原付みたいなものから自転車に近いものまで)が音を立てずに前から後ろから横からやってくるのが中国なので、こちらの危険を避けるためにもフロントもリアもライトは欲しい。リアは特に後ろからの衝突ゴッツン対策。

まぁ、ここまで(シェアバイクに限らず一般の)自転車が出回ったあとに「ライトつけようね」というのを中国ではいまさらできるかーという気もするわけで、こうなったらせめてシェアバイクにだけでもルール化すべきではないか。ライトも売れるからライトメーカーもハッピー、みんなの安全対策にもなってハッピー。

ライトを持っていよう

本当はリアもライトがほしいが、こちらはシェアバイクではリフレクター(反射板)がある。よってせめてフロントはと思うと、もはや自前のライトを持つしかない。

ということで私は中国にいるときにはカバンに自転車用のライトをいれるようにしている。取り外し忘れることもあろうかと、値段は低めのものをチョイスした。

ただ、日本で売っている数千円以内の製品の多くはマウントをつけてからライトを固定するものが多い(こちらでは数十元ぐらいから買える)。いちいちシェアバイクに乗るたびにネジやバンドの固定をし、さらにライトをつけるというのはやや面倒だ。もちろん固定するという意味では安心感があるので常用する自転車ならば当然そのほうがいい。しかし乗るのはシェアバイク。付け外しが簡単でなければならない。

私はこれを選んだ

そこで、(探せばいくらでも近いかたちのライトはあるので珍しくもなんともないが)私はバンド固定式のライトにしている。するっと取り付けられるし、ハンドルバーの太さが自転車によって違えど調整もききやすい。

バンド固定式のライトがいい。

バンド固定式のライトがいい。

取り付けるとこのようなかたちになる。これで十分。ものの5秒で取り付けられる。シェアバイクを安全な移動手段として利用するためにも、中国で自転車に乗る際にはぜひライトを一つ。

mobikeの車両に取り付けたところ。

mobikeの車両に取り付けたところ。

あとは手袋

もう一つ付け加えるとするならば冬の季節、手袋も必須。そもそもこの寒い時期、中国の北のほうでならば自転車に乗るわけではなくとも持ってこられているだろうが、たとえ10分の移動でも気温がマイナスになる地域での自転車移動で手袋なしには無理がある。なのに手袋なしで走っている人がなぜか多い! 指先は大丈夫なのかとこっちが勝手に心配になる。

そして今日、mobikeから手袋が届いた。たくさん乗ってポイントを稼ぎ、それにいくばかのお金を払うと送ってきてくれるポイント交換アイテム。今週からポイント交換レートが悪くなったようですべりこみセーフ。

mobikeの手袋

mobikeの手袋

昨年末に出たときには男性用、女性用ともに一瞬で品切れになりすぐに申し込めなくなったところ、年が明けてから再度申し込みを受け付けはじめ、ようやく手に入れた。

ofoもこういうオフィシャルグッズを作ってくれたら..。

日本に輸入される自転車の大半は中国から

輸入自転車はどこから来ているのか

2017年は中国国内の多くの自転車工場を巡ってきた。シェアバイク領域はオレンジ色と黄色で決着がついたかと思いきや、滴滴によるbluegogoの買収のニュースが飛び込み、青色復活の兆しがでてきた(どうもほぼ何も引き継がないようだが)。今年も中国の自転車工場は急がしそうである。

さて、自転車の話をしていると「えー、日本製の自転車のほうがよくない?」「イタリア製の自転車かっこいいよね」「アメリカ製のがいい!」というお話しが身近なところからたくさん聞こえてくる。自転車がお好きな方にとってはブランドの国籍と製造国が一致しないことはもはや当然中の当然、という話だろう。ただ、自転車を普段利用するだけという一般ユーザーにとってはどこかで聞いたことがある、ぐらいの話でしかないかもしれない。あるいは、そもそも意識したことさえないかもしれない。

イタリアやアメリカの国旗が並ぶのだが

眺めているだけ幸せになれるロードバイクのカタログ本『ロードバイク オールカタログ 2018』(エイ出版社)を開くと、ブランドごとに整理されたページを見れば国旗は豊かにさまざまななものが並ぶ。先週末、ある自転車店で1時間以上話し込み、試乗してドキドキし、そして最後に「キャンペーン中ですよ!」という甘い言葉に危うく(!?)「買う!!」と言いそうになったのがドイツブランドの自転車。でもそれはドイツで作っているわけではない。余談だが、そのカタログムックは危険である。物欲が刺激されすぎる。そして家人に値段が見えるのはよくない。値段部分は暗号化しておいてほしい。

そう、実際には高い単価の自転車以外にはイタリアやアメリカからの輸入車はほぼ存在しない。20-30万円ぐらいの自転車でもかなり難しい。それどころか、完成車はほぼ中国からの輸入である。1台あたりの輸入単価がそれを裏付けている。

アメリカの貿易統計を眺める

さて、貿易統計の時間がやってきた。今日はまずアメリカの貿易統計(USA Trade Online)で日本向けの輸出を調べることにする。

2017年1月から11月までの11ヶ月間でアメリカから日本に輸出された自転車の台数は合計2,575台。アメリカの貿易統計では25インチを超えるか超えないかで分類(輸出)が分かれるが、ロードバイクやMTBなどはほぼ25インチを超えるとして、該当する「8712002600」を眺めていく。その数、858台。1台あたり2,281USD。

アメリカの貿易統計での日本への自転車輸出(2017/1-2017/11)

アメリカの貿易統計での日本への自転車輸出(2017/1-2017/11)

この輸出単価からわかるとおり、まず輸出側から見ても比較的価格レンジの高い自転車が輸出の中心であるということがわかる。なお、アメリカの貿易統計はFAS(船側渡)価格であるが、FOBと大きな差はない(と、貿易会社もあるのに大雑把なことを言ってみた)。

次に日本の貿易統計を眺める

続いて、日本の貿易統計で輸入状況を確認する。今日も手間を省いてCSVをExcelに落としたものを切り取る適当さをお許し願いたい。日本の貿易統計ではロードバイク等のスポーツ車が「その他」なのでアメリカの貿易統計とブツけると分かりにくいのだが、同じく2017年1月から11月までに輸入され通関した自転車の合計数は649台。

日本の貿易統計。アメリカからの輸入。(2017/1-2017/11)

数字が合わないわけだが今日は重要な論点ではないので置いておく。このような論点については『貿易統計の不整合問題』(小坂・布施・鹿島, 2011)などがある。

そこでほかの国を眺めてみよう。イタリアは11ヶ月合計で313台、ドイツは同じく641台だ。なお、特に貿易統計でロードバイクまわりを見る場合にはその他の分類である「8712.00-299」を、マウンテンバイクやロードバイクは「8712.00-100」を見ればよい(細かい点は後述)。

同じくイタリア

ドイツからの輸入(2017/1-2017/11)

ところがこの期間、中国からは全数で612万5,706台、台湾からは13万3,206台である。残念ながらアメリカ、イタリア、ドイツなど自転車ブランド国とは数量の単位がかけ離れている。

11ヶ月間の国・地域別ランク(自転車輸入台数)

11ヶ月間の国・地域別ランク(自転車輸入台数)

ただし、一台あたりの単価は圧倒的に違う。前述の8712.00-299に対象を絞れば、中国からの単価は1台あたり11,581円、台湾からは70,266円のところ、ドイツからでは286,184円、イタリアからでは381,102円、アメリカからは426,584円となる。欧米からは高級な自転車の輸入が中心である、ということがわかる。

「その他自転車」の地域別ランク(自転車輸入台数)。その他といっても色々入ってる。

「その他自転車」の地域別ランク(自転車輸入台数)。その他といっても色々入ってる。

統計の読み取りには注意が必要

上の表を読み解くには少し難しい問題もある。8712.00-299にはロードバイクだけでなく、「外装変速機付軽快車」と「ジュニア用マウンテンバイク」も含まれる(日本自転車産業振興協会)。「外装変速機付軽快車」とは、簡単にいうとギアが外側に見えるタイプの変速機付のママチャリである。ところがロードバイクとママチャリ、となるとこれらは単価が違いすぎる。そしてドイツやイタリアから変速機付ママチャリがきているわけではない(!)。つまりドイツやイタリア、アメリカからきている自転車は、その単価が示すようにほぼロードバイクだと推測できる。一方、中国からはロードバイクもママチャリもジュニア用マウンテンバイクも全部来ている。分類が一緒になってしまったせいでもはや何がどうなっているかは日本側では読み取れない。

他方、ロードで比較しても同じ「自転車」とはいえ、フレームやコンポだけでなくありとあらゆるものが違うものであるといえる。輸入量や輸入価格から見れば販売価格が10万円を切るものの大半は中国から輸入されているということは明らかだ。もっとも、中国が安い自転車しか生産していないということを言いたいわけでもない。中国も高級ロードバイクの人気がどんどん上がっている。それはECサイトを眺めてみても、専門サイトを見ていてもわかる。

先日深圳の自転車展示会に行ってきたところでは、このような自転車も見かけた(販売価格は聞いていないが、上のはコンポまわりみるとお安くはなさそう)。

MISSILEという深圳のブランド

こっちは105が載ってる。おそらく5500元ぐらいのモデル。

カンボジアだ。

ところで貿易統計は常に新しい発見を提供してくれる。カンボジアだ。

カンボジアからはこの11ヶ月で1,595台の自転車が輸入されているのだが、実は世界的に見るとカンボジアが自転車の生産拠点として拡大している。日本向けは僅かであるが、世界では既に上位に入る生産国になりつつある。

その主な仕向地はEUだという。少し古いが日経の記事(2015.9.26)によれば「カンボジアの自転車輸出額は4.2億ドル(約500億円)で、10年に比べ約6倍に急拡大」という。確かに、台湾メーカーを中心としてカンボジアに生産拠点を展開してきた報道がいくつかみられる。(もともと自転車産業に限らず台湾企業のカンボジア展開は大きい)

カンボジアの統計を調べようと思ったが、カンボジアの税関のWebでは残念ながらまったくデータに到達できない。eurostatあたりを探すとして、これらは後日にとっておくことにする。

自転車創業さんへの出資と自転車領域への姿勢

自転車メディアなどを運営されている

「FRAME」という国内屈指の自転車メディアなどを展開されている自転車創業さんに出資させていただいた(TechCrunchでの記事はこちら)。

社長の中島さんにお会いして事業のストーリーを伺った瞬間からご一緒したいとビビっときた。メンバーも皆さんすごい。取り組むべき場所も、気づかれている方向性も共感する。共感どころか、学ばせていただきたいと思った。さらには社名のネーミングセンスにもひっくり返りそうになった。社内でこの話を説明したら全員がまず社名に驚いた。スタートアップにとって印象に残る社名は絶対的に強い。出資させていただくことに至って本当に幸せである。

自転車創業さんの事業内容は記事などにお任せするとして、今日は今後のクララオンラインの自転車領域への取り組みの意欲を残しておきたい。当たり前だが、クララオンラインがなぜ自転車なのか、何を見出したのかは皆さんにとってクエスチョンマークだらけだと分かっている。

本当はずっとクエスチョンマークだらけのままでもいいと思っていたが(気づかれたくないので)、12月に入ってそれは違うと気づいた。私の気づいていない多くの知恵を頂いたほうが実現性が高いと感じたからだ。

自転車が来る。2018年は日本は「シェアバイク元年」になる。

この iemoto BLOGをお読みいただいていもお分かりいただけるとおり、最近の私の頭の中は「自転車×社会」というキーワードに占められている。仕事でもシェアバイクのコンサルティングに関わり、中国で自転車工場にあちこち回り、中国に限らずあちこちのシェアバイクをなめ回すかのように見てきた。

ところが、クララオンラインが取り組むcross-borderでのborderは国境と既成概念の二つだといい続けているのだが、「自転車×社会」にはまさに隔たりがある。長年、日本では自転車は便利であれど行政的には扱いにくい存在としてみられてきた。

しかし、2017年5月の自転車活用推進法の施行、中国のこの1年半のシェアバイク市場の急成長、そして来年いよいよ日本でも大きく広まるだろう「eBike市場」、そして環境や災害時対策だけでなく二次交通課題の対応としても自転車は注目を集めている。すくなくとも日本は自転車市場に劇的なイノベーションはなかった。むしろ自転車産業は弱まる一方だった。ついに自転車の流れが変わろうとしている。

自転車×バッテリーでイノベーションが生まれ、通信と位置情報と電子決済で進化した

まず、電動アシスト市場の成長はご存知のとおりである。街中で見る電動アシストの数は明らかにこの5年で増えた。それは決して偏った見方ではない。まず世界の自転車産業は年率3%程度で伸び、2022年には349億ドルになるという(Lucintel, 2017)。世界でみれば衰退産業ではない。さらに、街中で見る量が増えているのは数字が裏付けており、日本国内の電動アシストの市場は対前年比で1割以上伸びていのだ(GfK, 2017)。

ただし、いわゆるママチャリ・街乗りのレンジである1万円台の自転車の出荷台数や売上規模はどう考えても伸びないし、実際にそうなっている。世界の自転車生産を支える中国も、今回のシェアバイクブームがなければかなりの数の工場が倒れていたはずである(功罪あるのでこれはまた別に書く。低い価格レンジの自転車だけの生産で今の自転車のバリューチェーンは到底支えられない。)

具体的には、市場を牽引するのは電動アシスト領域と、電動アシストのユニットが搭載されるロードバイク・クロスバイクの領域。Boschが日本市場向けにも2018年からついに電動アシストのユニットの投入をはじめるが、eBikeと呼ばれる領域に関心が集まる理由の一つはこのユニット市場がついに国内メーカーだけでなくグローバルメーカーも供給を始めるということだ。自転車産業は水平分業が歴史的にみられ、こうした新しい動きが完成車のモデルにも影響を及ぼす。もちろん、電動アシストユニットをつけていないロードバイクの領域も素材やデザイン面での変化が進み、高級路線を中心に単価の高い自転車領域も伸びる。

そして中国ではシェアバイクでの変化がきた

1年ほど前、mobikeがバッテリーとソーラーパネルと通信機能と位置情報を自転車に組み合わせ、市場に大量投下した。ofoも追いかけて通信機能と位置情報を組み合わせた。これで絨毯爆撃並みに中国はオレンジ色と黄色に染まったわけである。この間、言葉通り「鍵」となるスマートロック自体の製造メーカーも広東を中心に増え、単価も下がってきた。そして中国は世界でもっとも早くNB-IoTがくる。

しかも中国政府がこの大きな流れを止めなかった。全体的には受容し、細かなところを整えようとしている。ルールは夏以降に次々と出てきているし、日本の報道で出てくるような無茶苦茶な駐輪状態は、地方政府単位でだいぶ改善しようという流れがある。投入量が多すぎる場合には減らせといい、強制的に撤去させたり投入数を制限したりもしている。

この変化を起こしたイノベーターは私などより若い2人である。mobikeは1982年、ofoは1991年生まれの創業者である。中国はこの若い2人の挑戦を許容し、同時に自転車という中国でも実は相当古い産業の一つに若い世代が切り込んだ。

自転車と社会というBorderに取り組む

クララオンラインはインターネットインフラの会社として経営基盤を作ってきた。そして10年以上前に中国に進出し、一度は失敗しながらも中国と日本でのお客様のビジネスの架け橋・先導役になろうと取り組んできた。この間に、日本が中国に進出する目的は大きくかわり、低コスト工場の中国から、市場の中国になった。ところが、早くも次の段階にある。タイムマシン経営が「China to Japan」で成り立つ状況にあるのである。

深圳の記事を書くとそれに違う方向から反応する人がいたり、中国すごいという記事に対して何を限られたところを見ている、という人もいる。私の身近にもいる。しかし経営という立場から見れば、2017年は恐ろしいほど立ち位置が変わった。どうかそういう日本のビジネスパーソンには気づいてほしい。タイムマシンが全ての正解ではないが、日本が20年見てきたSilicon Valley to Japanだけじゃない。China to Japanがもはや成り立つ。加えてLocalizeは欠かせない。それがまさに前稿の駐輪課題であり、あるいは走行ルールの課題である。

モビリティとしての自転車、IoTとしての自転車

私は自転車のモビリティとしての進化、スポーツ競技としての存在に興味をもつのは当然のこと、もう一つ、IoTのデバイスとしての自転車に興味がある。なぜこぞって中国の通信キャリアがmobikeやofoと組んだか。間違いなくそれはIoTのデバイスとして自転車を見ているからである。今まで出来なかった人の移動の可視化があっという間に完成した。

通信キャリアから見れば、スマートフォンに入るSIMカードの数には限界がある。ユーザ数の勝負でしかない。そこで新たな開拓市場としてIoTデバイスに注目が集まるも、大量にSIMカードが出るようなデバイスは実はさほど出てきていない。ところが自転車はどうだ。中国に限れば、今年前半までの自転車を除けば、その後はほぼ全てがデータ通信の端末だ。以前、人と自転車の関係をセンサー・アクチュエーターだといった中国の投資家の言葉を書いたが(「全ての人はセンサーに、アクチュエーターになった」、本当にそうなる。

自転車には、スポーツ競技、ホビーとしての存在と、移動手段として人が便利に使う存在とがある。そこで盗難と違法駐輪と走行ルールという3つの課題が日本社会での受容を阻んできたが、少なくとも前2つはIoT×自転車で変化が起きると信じている。そして走行ルールや環境は、冒頭書いたように日本中で整備が進む道が始まっている。

ある日ここに書いたことに気づいたときに、広い意味での「自転車」が来る、と確信した。

自転車領域に取り組む

動くものという意味では2017年はドローンがきた。そして2位、3位のフランス米国メーカー(Parrot、3DR)との競争に勝ち、DJIが世界の8割の市場をとった。ただし、本質は、DJIがすごいということだけではない。DJIのドローンを使って何をするかだ。自転車も同じではないか。人の移動は、今までの交通手段だけではカバーできない。もう地下鉄のためにトンネルを掘ったり、不採算路線のバスを行政がサポートするには限界がある。

そこで2018年の変化は自転車だ。クララオンラインは、今までのIT・クラウド・通信領域の積み重ねが大量にある。そして中国と日本との間にいる。中国との事業経験の豊富さは日系のベンチャーの中では負ける気がしない。さらに、スポーツとITという概念のborderを越えることにも取り組んできた。もちろん自転車領域では小僧だ。学ばせていただきたい。先生を求めている。するならば、自転車領域の方たちと一緒に働かせていただくしかない。今までの自転車産業の歴史についても深く勉強する必要がある。自転車のレジェンドにも教えを乞いつつ、スタートアップの方たちとも組んでいきたい。そう考えて、まず一社目に組ませていただく先に自転車創業さんという存在に出会うことができた。

年が明けたら、次々と自転車領域での取り組みをまとめいく。イノベーターたるスタートアップの方たちには資金も人的リソースもシステムも必要だ。到底私たちの思いだけでは支えられない。一緒に動いていただける仲間をもっと増やしたい。資金も必要としている。中国の、世界の若い自転車ベンチャーとも組んでいきたい。

私自身も猛烈に学んでいる最中だが、とてもとても日本の自転車産業の方たちの積み重ねには及ばない。IoT、スポーツ競技、自転車とその部品、観光、災害対策、新たな販売方法などといったテーマで自転車に関わる新しい動きをされている方がいらっしゃれば、ぜひお取り組みを教えていただきたい。

浜松町・大門エリアの駐輪場事情

浜松町・大門エリアには駐輪場が少ない!

クララオンラインの東京オフィスがある浜松町駅の周辺には本当に駐輪場が少ない。Googleのキーワードプランナーで検索数を見ると「浜松町 駐輪場」「大門 駐輪場」と検索している人がかなりいることもからもわかる。

ビル下には駐輪できるスペースがあるが、これはビル上にあるマンション住人の方のためのスペース。ビル入居者が勝手に置くことは認められていない。

東日本大震災のあと、非常用に自転車を会社で購入したのだが、なんとそもそも置くスペースがないことにその後気づき、やむなくビルから離れたところに停めざるを得なかったということもあった。

駐輪場難民なのである。

浜松町駅北口自転車等駐車場

唯一あるのが浜松町駅前にある公共の駐輪場。港区が運営する地下平置きタイプのものだ。定期利用と一時利用が可能で、一時利用ならば1日1回あたり150円。

普段は自転車通勤はしていないが、その理由の一つに駐輪場の空き具合がわからないことがあり、なかなか挑戦できなかった。定期利用は年に一回の募集、もしくは空きがあれば申し込める、ということに限られている。きっと年末のこの時期ならば一時利用の人も少ないだろうと思い、今日は自転車で浜松町まできてみた。

浜松町駅北口自転車等駐車場

汐留ビルディングの目の前にある駐輪場の入口はわかりやすい。地下に降りれば管理されている方がいて、一時利用と伝えてチケットの販売機で150円を買いタグをつける。

スタンドなしのロードバイクでも置ける

事前に空き具合以外にもう一つ不安だったのが、スタンドなしのロードバイクでも置けるのかどうか。自立できないのでラックタイプの駐輪場でないと立てかけるしかない。

係員の方に「スタンドないですか?」と聞かれたので「ないんですが大丈夫ですか」と答えると、奥には工事現場にあるコーンとパイプで一台ずつ柵のようにしてあるスペースがあり、そこに案内していただいた。スタンドなしのロードバイクでも安心である。既に私以外に5-6台ぐらいが置かれていて、私の直後にも別の利用者が止めにきていた。

ドコモのバイクシェアのポートも空白

さらに当社のオフィスのまわりはドコモのバイクシェア(港区自転車シェアリング)のポートも空白地帯である。港区役所に行くか、赤羽橋の方向に歩いて住友芝公園ビルまで行かねばならぬ。

機会があったのでビルの管理会社の方に聞いてみたところこの状況はご存知のようで、検討もされたようだ。ただ、空白であることが逆に自転車のオーバーフローに繋がる可能性がとのことで見送られたと聞いた。それ以外にも事情があるようだが、そうか、あれば便利ではなく、あるとそこにたくさん停まりすぎるという懸念もあるわけか。このあたりは中国的な再配置を丁寧にすれば良いわけだがコストも当然かかる。現状では、それこそ虎ノ門あたりに大量に並んでいたりする様子を見ると実現は期待はし難い。我慢。

都心部になればなるほど駐輪場は難しい

港区の場合、民間に運営委託しているとみられる駐輪場を含めて26ヶ所の駐輪場がある。田町、品川のあたりには複数あるが、浜松町はこの一つに限られる。

民間が駐輪場事業をやろうと思っても、土地の値段からして都心ではどう考えても採算があわない。浜松町は決してど真ん中の場所ではないが、それでも駐車場が1台5万円という相場の場所である。置けて車一台分のスペースには自転車が6-7台。民間で土地を借りて駐輪場をやろうという話には、少なくともこの場所ではなりにくい。

地上が無理ならば地下、といっても、上で触れた浜松町駅の公共駐輪場の場合、そもそもビルの建設時にあわせて作られたもの。駐輪場のためだけに地下を掘るということは、大規模工事が伴わなければ勘定があわない。

実は法律の変化や制度面で歩道活用の可能性はゼロではないが、ラック式の導入をしていくにも誰が金を出すかというところで止まりやすい。

遊休スペースの活用

クララオンラインの古くからのお客様が「みんちゅう」という駐輪スペースのシェアリングを始められた。個人や企業が遊休スペースになっている場所を駐輪場として貸し出し、それを個人が借りれるようにしようというもの。駐車場ではこのようなサービスがいくつもあるが、駐輪場に目を向けられたのは新しい。

まだサービスを立ち上げられたばかりだが、聞くと来年以降は提携先を増やされていくよう。ほしい。オフィスに近くに本当にほしい。駐車場で車を置くスペースには足りないが、駐輪ならばできるという遊休スペースはきっとあるはず。

シェアバイクの日本での可能性を拡げるための最大の要素の一つが適切な駐輪スペースの確保であると考えている。「みんちゅう」のサービスには頑張ってエリア拡大していただきたい!

追記:
帰りに上に出てくる浜松町の駐輪場で係員の方に聞いてみたところ、一時利用でスタンドレスが置ける場所は14台。「でもこれが満車になることはまずないなー。どんどん使ってくださいよ」と。あら素敵!

恩送りという言葉に出会う

若者力大賞受賞者講演会

昨晩は理事を務めさせていただいている公益財団法人日本ユースリーダー協会で講演会を開催し、そのモデレーターとして参加した。

昨年私がこの協会の事業である「若者力大賞」の実行委員長を務めさせていただいた折、「受賞式でスピーチを聞くだけではその方の深い活動までは知りきれない。もっとお話しを聴ける場を作りたい」とお願いし、その受賞者の方にお話しいただく講演会を初めて開催した。第一回の昨年はパラリンピアンの高桑早生さんに登壇いただき、リオでの挑戦の様子を話された。今回はその二回目。「次世代の子どもたちの未来のために」というテーマを設定した。

ご登壇いただいたのは児童労働問題に取り組んでおられるACEの岩附さん、チャリティーサンタの清輔さん、児童養護施設から出た若者を支援し続けているブリッジフォースマイルの菅原さんの3人。いずれも若者力大賞ユースリーダー支援賞の過去の受賞者の方たち。その方たちの「その後」を知りたくてこの企画に関わらせていただいてきた。

12月は、街にはクリスマスソングが流れ、イルミネーションできれいに彩られる。クリスマスにはプレゼントが贈られ、働くひとにとっては忘年会もあるだろう。一年を振り返るこの季節を楽しむ人たちは多い。ただ、決してクリスマスが、あるいは世間が幸せに包まれるタイミングを、必ずしも同じように楽しむことができない人もいるということを知ってほしい。あえてこのような時期だからこそ未来を担う子供たちのことを考えたい、という機会になった。

恩返しよりも恩送り

お三方から出た言葉のどれもに強く共感したが、ひとつ、本当に強く言葉に残った言葉がある。清輔さんの「恩送り」。この言葉は恥ずかしながら知らなかった。Wikipediaによると「恩送り(おんおくり)とは、誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送ること。」ということだそうだ。

私は今まで多くの方に期待をしていただき、対してそれ以上に多くの方に迷惑をかけてきたことで、仕事とプライベートの時間のうち一部の時間は社会に使わせていただくことは次の世代に繋げる使命、と考えてきた。その都度社会におもどしすることを「恩返しする」といい続けてきたが、御恩をいただいた方にお返しするのではなく社会にお返しするものなのだから、恩送りはとてもすっきりする言葉だ。これからは恩送りと使おう。

白酒が正しく日本に伝わっていない

忘年会

昨日はクララオンラインの忘年会だった。開始5分で白酒(中国のお酒)の乾杯がはじまり、ビンゴは紅包が飛び交うという何とも中華的な雰囲気になってきた。iPhoneXとか景品にないんですかと言われたが、ギフト系のプレゼント以外は現金を経営層が自腹で入れるという初めてのやり方。

それこそ中国で見かけるような全員に高価なものを配るというほどまでは出来なかったが、本当はそれぐらいしたいもの。がんばった将来、結果が出たらぜひそうしたい。

白酒を知ってほしい

ところで、私は白酒が大好きである。決して大酒飲みではない。もちろんお酒なので強要するものでもない。ただ、皆で集まるときの白酒には何か一つの味がある。

そもそもガブ飲みするようなものではないのでショットグラスのようなもので乾杯するスタイルの飲み方だが、なにせ白酒が日本には正しく伝わっていないと痛感する。白酒? と聞くと何やら恐ろしいものを聞いたかのような反応に。確かに白酒は度数が50度や60度というものが多く、しかも伝統的に多く飲まれてきた白酒は辛め。悪酔いするという印象もあって、若い人たちにはどうもウケが悪い。蒸留酒は苦手だということになれば仕方がないが。

ただ、断言する。本当にいい白酒は、悪酔いもしないし、次の日にも残らない。(個人の体質によるものは除く)

一方、日本の中華料理店では高級なところでもそもそも白酒を置かなくなったところが多く(紹興酒はだいたいある)、あるいは質の良くない白酒しかないというケースもある。あるいは良いものがあったとしても高級ブランドの白酒が1-2種類しかないということもある。何ならそれが偽モノやラベルの雰囲気だけ似ている「似て非なるもの」だったりすることもあり、さらにタチが悪い。よって、免税範囲でコツコツと中国から持ち帰ってきたり、頂きものを大切にとっておき、大切なお客様やパートナーさんとの飲み会に持ち込ませてもらうことになる。

中国のコンビニで売っている小さなボトルに入ってるのは、あれは無理。日本から出張にいって、これかーといって買って帰って印象が悪くなられるのは避けたい。営業妨害にはならないだろうが、あの類のものは買わないでほしい。

知られていない白酒のほうが多い

色々な数え方があるらしいが、白酒の先輩・先生たちによれば、小さなメーカー、あるいは「売り物としてではない」(地方にいくと見かける。自家醸造。言い方をかえて悪く言えば密造酒。)ものを含めると、飲めるものとしては1000種類近くはあるらしい。茅台、五粮液、洋河、牛栏山あたりが免税店でも多く並ぶ有名なメーカーだが、こればかりではない。

そして、いい白酒は必ずしも高いものばかりではない。免税店で2000-3000元、あるいはさらに高いような白酒も置いてあるが、本当においしいものの中には数百元ぐらいのものもたくさんある。この一年に出会ったものの中には、当社の社員が持ってきてくれた延辺のある白酒が、もう本当においしくて、これは日本人の多くにもあうと感じた。有名どころの中では洋河が出している海之蓝の42度や46度あたりのものも良い(同じ度数でも色々と種類があるので一まとめにできないのは注意)。

中国の若い人たちも最近は度数の高いお酒を昔のように飲むわけではなくなってきており、メーカーもそれにあわせて度数を下げたものを作り始めている。30度半ばが多いが、中には20度ちょっとのものもあった(さすがに薄いし白酒の香りも弱い)。そこで最近、30度半ばのもので、辛すぎることもなく、香りも無理に強すぎなければ、日本の中華料理店でももう少し飲んでいただけるのではないだろうかと思っている。

日本で広められないか

白酒と一口にいっても、香り、製法でいくつもの分類に分かれる(と、百度百科の白酒のページに書いてある)。

一昨日、ある中国人と話していたところ、その人も中国の白酒で日本に展開したいものがあると教えてくれた。私も、上に書いた延辺の白酒ブランドは売れると思っている。色々な白酒の中で、日本の空気に、そして日本で食べる中華料理に合うお酒はきっといくつもあるはず。いつか日本に正しく広めてみたい。

といいつつ、お酒はほどほどに!

Huaweiユーザー向けセミナーでの講演

日本でもエンタープライズ向けの展開が加速

日商エレクトロニクスさんが開催されたHuawei(ファーウェイ)ユーザー向けセミナーで講演する機会をいただいた。Huaweiの機器は通信キャリア向けとコンシューマー向け製品(WiFiルータやP10などのスマートフォン)という印象が強いが、ネットワーク製品やIAサーバなどもかなり展開している。日本でもユーザーの裾野を拡げていこうと、Huaweiのパートナーである日商エレクトロニクスさんが中国のIT事情を伝えられるための機会として初めて開かれた。

一通り中国のアップデートを広くしつつ、やはり私からみればシェアバイク×NB-IoT領域でHuaweiとofoと中国電信の動きに興味がある。私から勝手に紹介させていただいた。

日本から3600億円以上の調達

「Huawei の凄さ」はもちろん十分に知っているつもりだったが、それよりも興味深かったのは日本からの調達額。昨年度の数字で3600億円以上の機器・パーツ等を日本から調達しているという。その前の年も3000億円を超える調達をしている。なんという額。

確かに、調べると2015年の記事には、2014年度に2000億円を超える調達をしているという報道もある(日経, 2015/5/21)。多くのサプライヤーの名前が挙がる中には日本の大企業の名前が連なっていた。そこから見ても1.5倍近い積み上げをしているということになる。昨日もHuaweiの方から触れられていたが、2016年度の日本から中国への輸出額ベースで見れば2パーセント以上をを占めていることになる。小さくない。

初任給40万円という報道に対して

今朝、ある日本の方と話しているときに、少し前に報道されたHuaweiの「初任給40万円」の話題が出た。確かにぱっと見ると高い。さらに求人サイトを見ると修士号以上では45万円からという情報もある。ただ、中国で今、重点大学の上位層を狙うAI・クラウド・ビッグデータ関連の求人を見ると2万元から2.5万元という求人も多く見る。日本円換算でみれば34万円から43万円ぐらいということになる。

昨日、ちょうど中国ではAWSの寧夏のリージョンが立ち上がった情報が公表された。北京に続いて2つめのリージョンである。早速関連する求人情報を探してみても、このあたりの金額ゾーンがチラホラと見当たる。

日本と中国とでは企業負担の社会保障分の厚みが違うため、こう考えると企業側の支出視点に立てば実際には中国と日本との条件差はほぼないということもできる。この点は既存の経済学でも説明ができる収斂が起きているだけとも言えるが、いずれにしても「能力・スキル差がない中でも中国の人件費が安い」という構図は既にあてはまらない。

機会があればじっくりとHuaweiの基地や工場を回らせてもらいに行きたいな、と。

東京ライフ・ワーク・バランス認定企業に選ばれました

東京都の認定をいただきました

クララオンラインが東京都による「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」に選ばれました。平成23年度に選んでいただいて以来、2度目の認定です。

取り組みのサマリーには【従業員の国籍に合わせた連続休暇の取得促進と男性の育児支援の継続】を入れて頂いていますが、実際には国籍を問わない採用を長期にわたって続けてきており、ある意味でごく自然なダイバーシティの上に当社の強みが成り立っています。

例えばお休みの場合、以前は日本的な「夏休み」を設定していましたがその後に前後4ヶ月の間に自由にとれる制度に変え、さらに最近は日本人社員にも旧正月がある国・地域の社員も採りやすいよう、一年のうちいずれかの期間で「連続して」(むしろ連続しないと取れない)リフレッシュ休暇をとってもらうという制度に変えてきました。

パパスイッチ

男性の育児支援についても、「パパスイッチが入る」ためには休むべき、産まれてきた子供と一緒に接するべき、という考えで取り組んできています。ワークライフバランス(東京は「ライフ・ワーク・バランス」)に対しては、別にゆるーく仕事をしようというものではなくて、結果成果を求めるのは当然のこと、その土台となるライフの部分の充実がなくして仕事で価値が出せるわけがないという価値観をもっています。

クララオンラインの場合、成長の過程の中にあっては大企業ほどものすごく充実した制度が山ほどあるというわけではありません。むしろ柔軟な運用から、必要なところを制度化してきました。ベンチャー・中小企業での取り組みの事例のひとつとして参考になればと思っています。

「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」紹介ページ

中国のシェアバイクを支える自転車メーカーたち – ofo編

自転車メーカーとシェアバイク

2017年は、中国の自転車史上、最も多くの自転車が製造されたのではないだろうか。1930年代に中国に自転車産業が根付き始めて以来、2016年に起きたシェアバイクブームで一気に街の自転車はカラフルになり、そして早くもこれらはオレンジ色と黄色の二色に落ち着こうとしている。

既に中国は世界最大の自転車生産国であり、GIANTやMERIDAといった台湾メーカーでさえその製造は中国が中心。一方、中国のシェアバイク業界は、mobikeの無錫や、もともと自転車メーカーである上海の永久によるGONBIKEを除き、そのほとんどを委託生産で行ってきた。ここしばらくは多くの自転車工場を視察してきたが、実際、多くの自転車工場のラインには街中で見たことがあるシェアバイクが並んでいる。

他方で、中国には自転車メーカー(正確には完成車の組み立てができるラインを持つ企業)は大小あわせて数百あるとされるが、その全ての自転車メーカーがシェアバイクの製造を請け負っているわけではない。もちろん、飛鴿、永久、鳳凰、富士達といった従来からの歴史ある大手メーカーは相当量の自転車製造を請け負ってきた。このうち飛鴿は天津、鳳凰と永久は上海の老舗メーカーで、80年代までの中国の自転車はほぼこの3社で占められてきた歴史がある(なお、正確には飛鴿は1999年に業績悪化により事業が行き詰まり、新たな法人格に飛鴿ブランドを引き継いだ。よって現在の飛鴿はこちらである)。その後深圳で香港・台湾メーカーによる生産が進んだことにより、中国の自転車産業は天津・上海・深圳の3エリアにまとまってきた歴史がある。

ところで天津は天津で面白い。北京からほど近い武清をはじめ北辰、東麗、西青などのエリアに自転車産業が長年集積している。いずれ天津、上海、深圳の三大自転車産地の歴史についてもまとめてみたい。

話題がそれすぎた。シェアバイクの話に戻る。

作りたくないというメーカーも

先日、ある準大手自転車メーカーの社長は「安く質の悪い自転車はつくりたくない。唯一、mobikeだけはしっかりしていたので請け負うことにした。」と語った。シェアバイクと一口にいってもコストはバラバラだが、中国全土で小さなシェアバイク企業が乱立した中では、そうした企業に対してはいわば100元、200元単位の自転車が求められた。必然的に、質は落とさざるを得ない。

そうした中、前述の大手メーカーの中には「他ブランドのシェアバイクの製造はこれ以上はやらない」と言っているところも出てきている。個人的にはbluegogo pro (bluegogoの変速付きタイプ)ぐらいの出来が好きだった。

中国向けだけではない

決して中国市場向けだけではない。自転車の型を見ても分かるが、アメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各地で展開しているシェアバイク企業の自転車の大半も中国製だ。大手の工場では世界各地に向けた自転車が出荷を待っている。むしろ今や中国製ではない自転車を探すほうが難しい。こうした自転車は、展開先の地域によって自転車の規格や規制、そして乗る人の体型も異なるため、一部分はカスタマイズされて出ている。

体型の話はわかりやすい。アジア向けではなく欧米向けにはシートとハンドルバーの高さを上げたデザインが多い。また、中国はライトの装着が義務付けられていないが、大半の国向けには当然LEDのライトが装着されている。

では、どのメーカーが作っているのか

さて、ではいったいどのメーカーがシェアバイクの製造を請け負ってきたのだろう。以前このblogではスマートロックや通信用のチップの話については触れてきたが、完成車の話については触れてこなかった。

中国のネットにはいくつかメーカーの情報が載っているが、残念ながら網羅されている様子はない。また、mobikeは、シャフト型以外の自転車は委託先で製造しているが、現在6社と言われている委託先(もともとmobike Liteは委託生産だった)については全てを見たわけではないので明言しにくい。(工場で生産工程を見たメーカーについても残念ながら言えない。)

そこで、委託先が「自転車を見ればわかる」ofoについて、下にリストを作ってみた。私がコツコツためた写真によるものなので完全に網羅しきれている自信はないが、ほぼカバーできているはずである。

そして結論から言うと、驚きである。ここまで多いとは思わなかった。この1ヶ月、ひたすら自転車を覗きこみ続けてみてきたところ、13社が見つかった。mobikeの6社という数字が先に頭にあったため、せいぜい同程度ではないかと思っていたため、調べるにつれて「まだ出てくるか」と。しゃがんで自転車をひたすら見続け写真を撮る怪しさは、まわりから見ればただ滑稽かもしれない(わかっている)。ただ、こちらはその見えにくいところに貼られているラベルに関心があるのである。

深圳市台峰自行车有限公司

これは「深圳市台峰自行车有限公司」だと分かる。

ofoのメーカーラベルの一覧

台峰以外の12社分のofoのメーカーラベルの一覧

  • 深圳市台峰自行车有限公司
  • 天津飞鸽自行车业发展有限公司
  • 凤凰(天津)自行车有限公司
  • 天津富士达自行车有限公司
  • 深圳市聚创车业有限公司
  • 深圳信宝自行车有限公司
  • 深圳雷克斯自行车有限公司
  • 深圳市泰丰永达自行车有限公司
  • 深圳市南盾科技有限公司
  • 爱地雅(东莞)自行车有限公司
  • 天津科林自行车有限公司
  • 宁波途锐达休闲用品有限公司
  • 深圳麦可斯车业有限公司

当初、ofoの自転車にはメーカー名は書いていなかった。むしろほぼ中国のシェアバイクでは製造メーカー名は判別しない。ただ、ofoの自転車では今年のある時期からメーカー名が分かるようになってきた。現時点では投下されているうちおよそ8割はメーカー名が記載されているシールが貼ってある。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

初期のofoにはメーカー名は書かれていなかった。

他にシールで分かるのはu-bicycleや赳赳单车(99bicycle)ぐらいで、あとはフレームなどを見て「同じ型だ」と気づくしかない。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

この赳赳单车(99bicycle)は浙江佳捷时电子科技有限公司が作っているとわかる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

同じようにこのu-bicycleは永久が作っていると分かる。

なお、上のリストについては現時点でも請け負っているかは定かではないので予めおことわりしておく。

ofoが韓国向けに準備していた?

興味を引かれたのは、「韓国」の文字を見つけたことだ。今回しばらくの期間ひたすら調べて続けていたところ、上記のofoのシールで「韓国線」と書いてある自転車を発見したことだ。これは完全に推測だが、韓国向けに製造するラインがあった可能性がある(ofoは現時点では韓国には出ていない)。ただ、一見したところでは富士达が作っている他のofoと外形上の違いは見当たらなかった。

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

富士达にofoの韓国向けのラインがあったのか?

一方、ofoが日本向けに持ってきた自転車が一部で公開され、その際に実車を見たところ、メーカー名がわかるシールは貼付されていない。ただ、KENT (Kent International はアメリカの自転車メーカー)のエンブレムが前面に付いている。他の国向けのofoの自転車でKENT のエンブレムがついているものは見つけられていないが、どうもこの日本向けの自転車はKENT の委託先の中国工場で作られているとみるのがよいだろう。

天津の古い自転車製造メーカーが厳しい状況に追い込まれているという報道がつい最近あったが、実際にあちこちの工場を見てみると、新たなトレンドに追いつこうとしているメーカーや、付加価値の高い自転車をつくろうとしているところは依然元気である。最近は20代、30代の若い経営者が自転車業界に入ってきている。新しいメーカーの話はいずれご紹介する。

ofo のベルトドライブモデルの自転車

中国のシェアバイクにベルトドライブの自転車が投入

ofo にベルトドライブモデルの自転車が出てきた。電動アシストのシェアバイク用自転車には既に永久が上海で展開している自転車(GONBIKE)にベルトドライブが採用されているが、自転車タイプのものでシェアバイクに採用してきたのは初めてだとみられる。

ofo のベルトドライブを採用した自転車

ofo のベルトドライブを採用した自転車

ベルトドライブの採用の一番のメリットはチェーンと違ってメンテナンス性。チェーンは使い続けていると磨耗で伸びてくるし、そもそも雨にさらされ続ければ注油しないと錆びてくる。1年近く投下され続けているシェアバイクの車両に乗ってみれば、まぁチェーンがガリガリ言うこともよくある。

その点、ベルトドライブは優秀だが、ベルト自体のコストだけでなくスプロケットやクランクセットもベルト専用になり、全体でコスト面にも跳ね返ってくる。もっとも、シェアバイク用に大量生産することになれば、一台あたりの製造コスト差は小さくなるはず。

ベルト部分

ベルト部分

もちろんチェーンドライブと比べて自転車がやや軽くなるし、乗り心地もスムースになる。シェアバイクにベルトドライブが出てくる時代になったか、と思うわけである。

ベルトドライブはシェアバイクに向くのか

もっとも完全なメンテナンスフリーではない。ベルトドライブの自転車に乗っておられる方はお分かりだろうが、カーボンベルトから汚れで少しすれるような異音はしてくることもある。カーボンベルトは油はさしてはだめなので水で洗うことが必要。チェーンと比べればメンテナンスは楽だろうが、それでも1年や2年、外で過酷に扱われていれば、個人で大切に扱われる自転車と違う

カーボンベルトは切れないのかという懸念もあるが、実際にベルトドライブの自転車を作っているメーカーの人に質問したところ、「そりゃ、チェーンを切るのと同じように専用の工具があれば切れる」というが、実際には結構硬い。車のタイミングベルトが相当乗らないと切れないのと同じ(だと思う。我が家で一時期乗ってたイタリア車が相当な距離でようやく切れかかったという経験のみ。説明が雑で申し訳ない)。

使っているカーボンベルトはGates

そこで、どこのメーカーのカーボンベルトが使われているのか見ると、Gatesだ。Gatesはドイツのメーカーで、もとは自動車やバイク向けで始まり、そこから名だたる自転車メーカーで使われている有名な「Gates Carbon Drive」というカーボンベルトブランド。

いいベルト使ってるじゃない。

実際のところ乗り心地はどうだ

実際に乗ってみるとスイスイ来る。乗り心地も悪くない。ワーイと言って「乗り心地がよくなった」とTwitterに機嫌よく書いたら、今日になってダメな車両に当たりまくることになる。

問題は乗り心地ではない。それ以外の問題。多いのはシートポストのロックが甘くなっているもの。今日だけで3台。イタズラされたのかブレーキワイヤーが抜かれているものが1台。フロントハブのロックナットがおそらく甘くなっているだろうというのが1台。さらに、スマートロックのレバー部分が早々に壊れているもの1台(壊れにくそうな形状だったのに..)。出たばかりの新車でこれかよーと内心思うところ。

ブレーキのワイヤー部分が壊されている。。。

ブレーキのワイヤー部分が壊されている。。。

壊れていたり故障しているものは1台ずつ丁寧に通報。出たてだから仕方がない。そのうち改良されてくるだろう。しかしシートポストが甘いのはイケてない。サドルをあげて乗った瞬間にがくっとお尻が下がったときのあのガッカリ具合といえば…。

供給は一社だけのよう

この自転車を誰が作っているのかが気になり、手当たり次第メーカーを調べてみたが、どうも「深圳市台峰自行车有限公司」の一社だけのよう。この会社はbanianブランドで自転車を出している深圳のローカルメーカー。

ここで言いたいのは、ベルトドライブがダメだということではない。むしろベルトドライブの自転車を頑張って増やしてほしい。しかし自転車自体の完成度が高くないと、せっかくのベルトドライブが泣いてしまう。

もう少しがんばろう!

そして2モデルあることに気づく

何台か乗っているうちに、カゴ無しのものにあたった。最初はカゴを外されたかかわいそうに、と思ったら、そうではないよう。よく見るとカゴありとカゴなしの2モデルが投下されている。カゴなしのモデルはカゴの取り付け部分がリフレクター(反射板)になっている。カゴありのほうは、カゴの前面部分にリフレクターが付いている。個人的にはカゴありで統一していただいてもよろしいのではないかと思うところ。

カゴありのベルトドライブモデル。

カゴありのベルトドライブモデル。

カゴなしモデル。

カゴなしモデル。

カゴなしモデルは取り付け部分にリフレクター

カゴなしモデルは取り付け部分にリフレクター

一つ気になるのは、ベルトガードをつけていないこと。上に書いた永久の自転車はベルトガードをつけて巻き込みを防いでいるがofoの自転車にはついていない。スカートや裾の巻き込みを防ぐためにはベルトガードがあったほうがよいのでは。

永久が作り展開しているGONBIKEのベルトガード。

永久が作り展開しているGONBIKEのベルトガード。

と、まぁベルトドライブの自転車だけでこれだけもネタを提供してくれるofo は相変わらず楽しい。

正直、ofoの元気が最近なさすぎて、黄緑+金ピカ、青色に続いてどうにかなってしまうのではないかと思っていたので、新しいモデルが出てくるだけで嬉しい。きっと上に書いたような不具合は次のモデルですぐに改良されてくるだろうから期待して待つことにしよう。